今回のご依頼は、トヨタ アルファード(DBA-ANH20)のエンジン異音修理のご依頼です。

「エンジンをかけた直後にガラガラと大きな音がする。エンジンが温まってくると少し静かになる」とのことで、
他のディーラーに相談したところ高額な見積もりが出てしまい、困ってご来店いただきました。

■ 車両情報

  • 車種:トヨタ アルファード
  • 型式:DBA-ANH20
  • 走行距離:148,000km
  • 症状:エンジン始動直後にガラガラと異音が発生。エンジンが温まると多少静かになる
  • 故障コード:なし
  • 作業内容:バランスシャフト交換

■ 症状の確認と診断

まずエンジンを始動し、音の発生源を確認します。冷間始動時(エンジンが冷えた状態でかけた直後)に「ガラガラ」という金属同士がぶつかるような音がエンジン下部から聞こえます。
暖機が進むにつれて音が小さくなる——このパターンは非常に特徴的で、バランスシャフトの不具合が強く疑われます。

故障コードは出ていませんでしたが、コードが出ないからといって安心はできません。今回のような機械的なガタや異音は、センサーでは検知されないことがほとんどです。

■ バランスシャフトとは?

バランスシャフトとは、エンジンの振動を打ち消すために回転している補機部品です。ANH20系アルファードに搭載されている2AZ-FEエンジンにはオイルパン
(エンジン下部のオイルを溜めるパン)の中にバランスシャフトが組み込まれています。

このバランスシャフトにはダンパー(振動吸収部品)が内蔵されており、経年劣化によってダンパー部分が外れると、ギヤにガタが生じて「ガラガラ」と音を立て始めます。
さらに悪化するとギヤの歯が欠けてしまうことがあり、欠けた金属片がオイルストレーナー(オイルの吸い込み口フィルター)に詰まると
油圧不足を引き起こし、最悪の場合エンジンが焼き付くという非常に危険な状態になります。「エンジンが温まると少し静かになる」のは、
オイルが温まって粘度が下がり、ギヤのガタがやや落ち着くためです。放置は禁物です。

■ 作業開始:オイルパンの取り外し

まずエンジンオイルを抜き取ります。オイルの状態や色・汚れ具合も重要な診断材料になります。

オイルを抜いたら、オイルパンを取り外してエンジン下部を開きます。バランスシャフトはオイルパンの中に収まっており、
パンを外すことで内部の状態を直接確認することができます。

■ ストレーナーの確認

オイルパンを開けたら、まっ先にオイルストレーナーの状態を確認します。
ストレーナーはオイルポンプがエンジン各部にオイルを送る際の吸い込み口にあるフィルターで、
ここが詰まると油圧が低下してエンジン各部に深刻なダメージを与えます。

ストレーナーを取り外して単体で状態を確認します。

■ バランスシャフトユニットの取り外しと状態確認

バランスシャフトユニットをエンジンから取り外し、詳しく点検します。

ユニットを分解してギヤの状態を確認すると、やはりギヤに明らかな傷みと摩耗が見られます。
ダンパー部分の劣化によってギヤ同士のかみ合わせにガタが生じ、それが「ガラガラ音」の原因となっていました。


続いてストレーナー単体の状態も改めて確認します。

幸い今回はストレーナーへの金属片の詰まりは軽微で、エンジン本体への深刻なダメージは確認されませんでした。
早めにご相談いただいたことが功を奏した形です。

■ オイルパンの状態確認

外したオイルパンの状態も確認します。オイルの色・異物の有無はエンジン内部の状態を知る重要な手がかりです。


ギアに使用されているダンパー部分が経年劣化により破損・脱落しており、
外れた部品がオイルパン内に溜まっている状態でした。

■ 新品バランスシャフトへの交換

状態を確認した結果、バランスシャフトユニットを新品に交換することが最善と判断しました。
部分的な補修では再発リスクが高く、ユニットごと交換することで根本的な解決を図ります。

オイルパンのガスケット面を丁寧に清掃し、液体ガスケットを塗布してオイルパンを組み付けます。

新しいエンジンオイルを規定量注入して作業完了です。

■ 試運転・最終確認

エンジンを始動して油圧・油量を確認後、試運転を実施します。

冷間始動時のガラガラ音は完全に消え、エンジンはスムーズかつ静粛に動作していることを確認しました。
暖機後も異音の再発はなく、修理は成功です。

■ まとめ

ANH20系アルファードの2AZ-FEエンジンに搭載されているバランスシャフトは、走行距離が増えるにつれてダンパー部分が劣化しやすい構造です。
始動時のガラガラ音に気づいたら、できるだけ早めにご相談ください。放置してギヤが欠けてしまうと、
欠片がストレーナーを詰まらせてエンジン焼き付きに発展するケースもあります。早期発見・早期対処がエンジンを守る最善の方法です。

今回はディーラーで高額見積もりが出てしまいとのことでしたが、当店では必要な箇所を的確に見極めた上でコストを抑えた修理をご提案しています。
「異音がするけど、どこに相談すればいいかわからない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

エンジン異音・バランスシャフトの交換に関するお問い合わせは、ホリエカーサービスまで、お電話0480-42-5554(月〜土 9:00〜19:00)にてお待ちしております。